京王線の調布、布田、国領の3駅で進められている地下化工事のうち、昨年6月に国領駅から掘削作業を始めたシールドマシンが調布駅に到達し、12日、工事現場が報道陣に初めて公開された。同駅周辺の交通渋滞解消の切り札となる地下化工事の現場をルポした。
(大野潤三)
調布駅から東へ徒歩2分。線路脇の小屋から機械音を頼りに狭い階段を下ると、パッと視界が開けた。空調機器などが設置される同駅地下1階部分だ。その上を電車が走り、通過する度にごう音が響く。京王電鉄によると、営業している電車の真下を掘削する工事は全国でも珍しいという。
上り線が通る深さ約25メートルの地下3階部分まで下りた。むき出しの岩壁から巨大なシールドマシンが顔をのぞかせていた。筒状の掘削機械は直径6・8メートル、全長8・1メートル。先端の超合金製のカッター部分を1分間に1回転させながら、横穴を掘り進める。
1日10メートルほど。約7か月かけ、国領駅から861メートル進み、先月末、調布駅の地下にたどり着いた。泥とさびで赤茶けた胴体と、所々に欠けて鈍く光るカッターの歯が、道のりの険しさを物語っていた。
国領駅近くからも地下に潜り、マシンが通過した跡を歩いた。マシンの後部にはコンクリートと鉄で固められた内壁を組み立てる機械が設置され、通過したそばから、むき出しの礫(れき)層に次々と内壁を取り付けるという。
地下化工事は、踏切をなくして、3駅周辺の慢性的な渋滞を解消することなどを目的に、2004年9月に着工した。工事区間は、国領駅東側〜調布駅西側の京王線沿いの約2・8キロと、調布駅から相模原線沿いの約0・9キロ。今月17日から2台目のマシンが投入され、5月上旬には同駅地下2階部分から下り線の掘削が始まるという。
総工費1149億円の6割は同社が出資し、残りは国と都、調布市で負担する。市の負担額は75億円の見通しで、完成は13年3月の予定。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090213-OYT8T00146.htm