日産自動車が、経営危機に陥っている米自動車大手クライスラーと合意した小型車などのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を柱にした事業提携の準備作業を凍結していることが12日、明らかになった。2009年3月期連結決算が巨額赤字に転落する見通しの日産は、クライスラーとの取引による一段の業績悪化を懸念しており、白紙撤回も視野に提携見直しの検討に入る方針。
米政府から40億ドル(約3600億円)の緊急融資を受けたクライスラーは、今月17日までに経営再建計画を提出、3月末までに計画の実現性が認められないと融資の返済を迫られ、追加融資を受けられない。再建への柱に位置付けていた日産との提携の行方が、米政府や議会の判断にも影響しそうだ。
両社は昨年、日産が09年から南米市場向けに小型セダン「ヴァーサ セダン」(日本名ティーダ ラティオ)をベースにした車のクライスラーに対するOEM供給で合意。さらに、日産が追浜工場(神奈川県横須賀市)で低燃費の小型車を生産し、クライスラーが10年から欧米などで販売する計画となっている。