自民党は12日、労働者の「派遣切り」が相次いでいることを受けた労働者派遣法見直しで、製造業への「登録型派遣」原則禁止について検討に入った。政府、与党はこれまで登録型派遣の制限に慎重姿勢だったが、不安定な雇用形態との批判が強まっていることから転換した。
厚生労働省によると、製造業派遣で約46万6000人が働き、うち登録型は約17万8000人。麻生太郎首相は製造業への派遣規制に「現在働いている人に影響が出る」と否定的な考えを示していた。しかし自民党内で関係者へのヒアリングを重ねた結果、大幅な規制強化は避けられないとの見方が広がった。ただ党内には依然、慎重論もあり、議論の行方は流動的だ。
民主党も製造業への登録型派遣を禁止する方向で検討している。
登録型派遣は派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ働き方。手軽さの一方で、派遣先企業から契約を解除されると仕事もなくなり、派遣会社と正社員などの形で雇用契約を結ぶ「常用型派遣」に比べ景気後退の影響が直撃するとされる。
連合など労働側には専門的な職種を除いて登録型派遣の禁止を求める意見が根強い。これに対し、企業側は「生産の増減への対応が難しくなる」などと、大幅な規制強化に反発している。規制が強まれば、生産現場の海外移転を進めざるを得ないとの声も出ている。