小泉純一郎元首相は12日夕、自民党本部での郵政民営化推進派議員の会合であいさつし、麻生太郎首相の郵政民営化をめぐる発言に「怒るというよりも笑っちゃうくらい、ただただ、あきれている」と不快感を表明。「政治で一番大事なのは信頼。首相の発言に信頼がなければ選挙戦は戦えない」と、厳しい麻生政権批判を展開した。
小泉氏は、2兆円の定額給付金の財源を確保する2008年度第2次補正予算関連法案について「3分の2を使ってでも成立させなければならない法案だとは思っていない」と、衆院での再可決を行うべきではないとの考えを示した。政府・与党が再可決に踏み切った場合、小泉氏が造反する可能性も出てきた。
小泉氏は首相だった05年、郵政民営化を争点に衆院解散・総選挙に踏み切り、自民党は大勝し衆院で与党が3分の2を占める議席を獲得した。今期限りでの引退表明後も、改革派や若手議員の信頼が厚い小泉氏の政権批判が「麻生降ろし」につながる可能性もある。
また、小泉氏は10日に首相と電話した際に「発言に気を付けてくれ」と注意したことも明らかにした。
麻生太郎首相は12日夜、小泉純一郎元首相が定額給付金の財源を確保する2008年度第2次補正予算関連法案の再可決に反対との考えを示したことに「政府・与党できちんと手続きを踏んで決めた結論。粛々と成立させるよう努力しなくてはいけない」と述べた。
(中日新聞)