兵庫県宝塚市が定期的な勤務評定をせず職員に支給した勤勉手当などを返還するよう求めた住民訴訟の判決で、神戸地裁は13日、「裁量権を逸脱し地方公務員法の趣旨に反する」として支給の違法性を認めた。
一方、「職員に混乱をもたらす」として返還請求は棄却した。
総務省によると2005年度、地方自治体職員の98・5%が勤勉手当を受給。勤務評定の結果を勤勉手当に反映している自治体は、07年度時点で16・5%にとどまっている。
佐藤明裁判長は判決理由で「形式的にも実質的にも、個々の職員について勤務評定をしたと言うことはできない」と指摘、手当は職員の不当利得と認定した。
原告側は市が05年度、約1600人に勤勉手当を支給、約1500人を定期昇給させたとして、手当と昇給差額計約10億5000万円を職員に返還させるよう求めていた。
原告の多田浩一郎市議は「違法性を認めた判断は評価するが、返還を認めなかったことで自治体に安堵(あんど)感を与えてしまう」と控訴する考えを示した。
阪上善秀市長は「大変厳しい判決と受け止めている」としている。