低い解剖率が犯罪見落としにつながるなどの批判がある死因究明制度の改善に向け、自民、公明両党の国会議員が議員連盟を発足させる。4月末をめどに解剖医増員や全国一律の制度確立などの提言をまとめ、年内に議員立法による法案提出を目指す。
医師で、衆院厚生労働委員会のメンバーでもある自民党の冨岡勉議員が呼び掛けた。会長は保岡興治前法相。約60人が加わる見通しで19日に設立総会を開く。
死因究明制度をめぐっては、2007年6月の時津風部屋の力士暴行死事件を契機に、警察の検視官や解剖に当たる法医学者が不足している問題が指摘された。
警察庁によると、昨年1年間に全国の警察が扱った遺体は約16万2000体で、このうち死因究明のための司法解剖や行政解剖が行われたのは約1万5700体で、解剖率は前年比0・2ポイント増の9・7%にとどまっている。
冨岡議員は「死因究明は犯罪捜査だけでなく、日本の医療制度の根幹にかかわる問題。関係省庁に見直しを訴えていきたい」と話している。