愛知県の不正経理問題で、2008年度までの8年間に県庁全体で行われていた不正経理の総額は、14億9千万円に上ることが県の全庁調査で分かった。これまでの判明分5億4千万円から一挙に2・7倍に膨らんだ。物品購入をめぐり、架空発注した上で業者に公金をプールする裏金の「預け金」は1億2千万円に達した。
全庁調査結果がまとまったことで、愛知県の全容解明作業は終了。今後の焦点は、県が国の補助金をいくら返還するかと、県職員が不正額のどの程度を負担するかという算定作業に移る。
架空発注を伴った「悪質な不正経理」(県幹部)は、発注品と納入品が異なる「差し替え」、物品納入後にまとめて代金を支払う「一括払い」と預け金の3手口で3億7千万円に上り、全体の4分の1を占めた。
残りは、物品の発注時期と納入時期が年度をまたいで食い違った経理処理のほか、規定の事業以外に流用した旅費と賃金だった。
愛知県は会計検査院が指摘した02−06年度の不正額3億1千万円のうち、国の補助金不正使用額1億3千万円と加算金の計1億9100万円を国へ返還する。全庁調査結果を受けて、他年度の補助金返還額を確定するため今後、国と協議していく。
また長崎県や宮崎県などの先例にならい、不正経理で県に与えた損害額を算定し、神田真秋知事をはじめとする県職員やOBらで返還することになる。
損害額としては、入札せずに預け金など3手口で割高に買った物品購入費分や、全庁調査にかかったコピー代、郵便代、職員の超過勤務手当代などに利子分を加えて計算。弁護士や会計士でつくる「経理適正化外部委員会」の了承を得て確定する見込み。
◆愛知県の不正経理問題
会計検査院の指摘で昨秋に発覚。2002−06年度の建設事務所と農林水産事務所分の不正額は3億1046万円に上った。県は昨年10月から本庁19部局と出先291機関を対象に、物品購入費と賃金、旅費について全庁調査を行い、同年12月に07年度の不正額は2億3168万円と発表。「私的流用は今のところない」としている。
(中日新聞)