キヤノン関連施設工事の受注をめぐる脱税事件で、大賀規久容疑者(65)が経営する大分市のコンサルタント会社「大光」が、脱税工作の舞台となった同市内のキヤノン工場近くの県有地を県土地開発公社を通じ、周辺相場の半値程度で購入していたことが13日、関係者の話で分かった。
企業誘致目的の土地だったため、コンサルタント会社への売却自体を「不自然」と疑問視する声が出ており、東京地検特捜部も取引の経緯を調べている。
県土地開発公社などによると、キヤノンは2005年6月、プリンター関連機器生産工場の進出を表明。県は波及効果による別の企業進出を期待し、近隣地(約1万8000平方メートル)の先行取得と造成を同公社に依頼した。
土地の売却計画は公表されていなかったが、大賀容疑者は06年3月、県側にキヤノンの社員寮建設を打診。公社は同年8月、造成工事を鹿島と随意契約するとともに県から土地を約1億1000万円で購入、翌年1月に約1億4000万円で大光に売却した。
土地の一画には現在、大光本社と、大光と賃貸契約を結んだキヤノングループ2社の社員寮が立っている。
取引を知る県関係者は「誘致は、地元企業と競合しない業種などが条件だったが、そもそも大光のようなコンサルタント会社に売却されたのは不自然だった」と指摘。
県側は「キヤノンの工場が近くにできたので、(大賀容疑者の提案は)土地の有効活用につながると考えた」と説明し、「周辺の半値は安すぎる」との見方には「土地が平たんで、造成費用が安く済んだため」としている。