自民党の小泉純一郎元首相(67)が12日、郵政民営化推進派議員の会合で、民営化をめぐる一連の発言でぶれが目立つ麻生太郎首相(68)を「怒るというよりも、笑っちゃうくらいあきれる」とこき下ろした。さらに「総理の発言に信頼がなければ選挙は戦えない」と最後通告。いまだ党内に影響力を残す元首相の爆弾発言で「麻生離れ」が加速する可能性も浮上。麻生首相に就任以来、最大のピンチが訪れた。
かつての「ライオン宰相」がついに牙をむいた。
小泉氏は開口一番「最近の首相の発言は、怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている」と発言のぶれが続く首相を切り捨てた。穏やかな表情がかえって怒りの強さを際立たせた。
郵政改革の生みの親の意地がある。首相が「民営化に賛成ではなかった」「郵政4分社化を見直す」と国会で答弁した後の10日に電話会談。その際、自民党内の若手・中堅が首相を批判するブログの内容をファクスで送るとともに発言に注意するようくぎを刺した。
「小泉節」は止まらない。次期衆院選に向け、党内では悲観論が広がっているが「批判的な意見を若手が出すと、執行部は『後ろから鉄砲を撃つな』と抑え込む。しかし最近の状況は戦おうとしている人たちに首相が前から鉄砲を撃っている」と首相に進言したことを披露。「首相の発言に信頼がなければ、選挙は戦えないんです」と「リーダー失格」の烙印(らくいん)を押した。
首相退任以降、歴代首相への表立った指摘を控えてきたが、この日は政権運営にまで言及した。
首相が早期成立を求める、定額給付金支給に必要な2008年度第2次補正予算関連法案に関し「(衆院の)3分の2を使ってでも(再可決し)成立させなければならないとは思わない」と述べた。「あとで『あの時、賛成したけど、実はそうではなかった』と言いたくない」と脅しまがいの衆院再議決での造反まで示唆。
依然、党内で影響力を残す小泉氏の発言に「戦闘モードだ」(山本一太参院議員)、「やっとはっきり思いをおっしゃった」(片山さつき衆院議員)など不穏な空気が漂い始めた。会合前に政調幹部は「小泉氏に苦言を呈してもらう方が党内が収まる」と“ガス抜き”を見込んでいたが、まさかの首相批判となった。
会合には首相と距離を置く中川秀直元幹事長や小池百合子元防衛相、小泉チルドレンなど計18人(参院1人含む)が出席。給付金関連法案は与党から16人が造反すれば衆院の再可決ができなくなるだけに、小泉氏から造反のお墨付きを得たと受け止め、実行に移せば、政権は行き詰まる。
会合後、報道陣を無視した小泉氏。来週末に給付金関連法案の衆院再議決が行われる可能性もあるが、言い出しっぺの本人は、14日から20日までロシア訪問で“雲隠れ”する予定だ。政局好きの元首相の次なる一手は果たして…。
(2009年2月13日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090213-OHT1T00090.htm