うつ病を装った健康保険の傷病手当金詐欺事件で、秋田県警は12日、詐欺の疑いで、事件を主導したとみている貴金属輸入販売会社「アクア」(札幌市)代表社員佐野剛容疑者(41)を13日に再逮捕する方針を固めた。同容疑で、同社八戸支店(青森県八戸市)の支店長の男も逮捕する方針。
調べでは、佐野容疑者は、男を八戸支店長に仕立て、男がうつ病で働けなくなったと社会保険事務局に虚偽申請し、傷病手当金約30万円をだまし取った疑いが持たれている。
県警によると、佐野容疑者は7都道県に支店を設けており、県警は不正受給の総額が約5500万円に達し、うち八戸での被害は約700万円とみている。
県警は近く、福島市に開設した支店での不正受給をめぐっても追送検する方針。福島での被害総額は600万円程度としている。
傷病手当金の申請には医師の証明が必要で、佐野容疑者はうつ病と診断させるためにマニュアルを作成。医師との想定問答が書かれ、「よく眠れない」「動悸がする」など具体的な受け答えや振る舞いを指示していたという。
この事件では秋田、北海道、青森、宮城、福島の5道県警が共同捜査班を設置している。