傷害罪で逮捕された男が法廷で被害者の占い師の女性に対し「出てきたらまたやってやる!! 日本中の占い師をつぶしてやる!!」などと暴言を吐いて脅したとして、東京地検は12日、住所不定・無職の渡部栄治被告(43)を証人威迫と脅迫の容疑で再逮捕した。昨年12月に導入された「被害者参加制度」を適用した事件での異例の事態。裁判員制度の実施を5月に控える地検は審理の進行を妨げる行為に厳しく対処する措置を取った。
事件は現場でも起きたが、法廷でも起きていた—。今月9日、被害女性が慰謝料と治療費約60万円の支払いを申し立てた東京地裁での初公判で、渡部被告は証言中の女性に対してどなり、脅迫した疑いが持たれている。退廷させられるまでのやりとりは以下の通り。
証人尋問での被害女性「『日銭を稼ぎやがって』と(渡部被告に)言われた。占いは仕事ではなく趣味。500円でやっていた。悩みを抱えている人の気持ちが楽になればと…」
渡部被告「それなら無償でやるべきだ」
裁判長「静かにしなさい。被告は不規則発言は慎むように」
検察官「裁判長、次に不規則発言をしたら退廷を命じて下さい。(女性に)続けて下さい」
女性「私はすごくプライドが傷ついて…」
被告「お前たちはのろわれるぞ」
裁判長「静かにしなさい。退廷させますよ」
被告「裁判なんか茶番だ! エセ裁判官め! 聞いてあきれる」
裁判長「退廷させて下さい」
被告「出てきたらまたやってやるからな! 俺はお前の顔を覚えているぞ! 俺はそんなにヤワじゃねえ!」
裁判長「速やかに退廷させて下さい」
被告「日本中の占い師をつぶしてやる!」
退廷—
暴言を受けた女性は両手で耳をふさいで証言台に突っ伏すようにして泣きだし、一時休廷した。「被害者参加制度」に基づき被告人質問などをする予定になっていた女性だったが、今後の公判参加については弁護士と再検討している。
昨年11月18日夜、渡部被告は東京都世田谷区の路上で占いをしていた女性に「人間の運命は決まっている」などと言い掛かりをつけ、顔を殴るなどして約1週間のけがをさせたとして逮捕・起訴されていた。
(2009年2月13日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090213-OHT1T00089.htm