広島市で2001年、保険金目的で実母と娘2人を殺害したとして殺人や放火などの罪で死刑を求刑され、1審無罪だった無職中村国治被告(38)の控訴審の第1回公判が12日、広島高裁(楢崎康英裁判長)であり、検察側は「1審判決は事実誤認」として破棄を求めた。
広島地裁は07年11月、被告の自白調書の信用性について「犯人と認めるには合理的疑いが残る」と無罪を言い渡し、検察側が控訴していた。
この日の公判で、検察側は「自白が自発的で真実だったのは明らか」とする控訴趣意書を陳述。出火時に避難し、逮捕後の被告と接見した妹への証人尋問を請求し証拠採用された。
これに対し弁護側は「証拠を検討すれば、被告を有罪とは認定できない」と控訴棄却を求めた。
中村被告は借金返済に困り、01年1月17日未明、広島市西区の実家で母親=当時(53)=の首を絞め殺害。家に放火して就寝中の長女=同(8)=と次女=同(6)=を焼死させ、3人の死亡保険金など計約7300万円をだまし取ったなどとして起訴された。