ダイヤモンド、グラファイト(黒鉛)に続く第3の炭素結晶が存在することを、東北大などのグループがコンピューターのシミュレーション計算で証明した。結晶には電気の伝導性があり、将来は炭素だけで集積回路を作ることも期待できるという。研究成果は米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」電子版に掲載された。
グループは東北大金属材料研究所の川添良幸教授、同多元物質科学研究所の阿尻雅文教授、伊藤正寛研究員、同理学研究科の小谷元子教授ら。
炭素が既に知られた2種類の結晶とは違うパターンの結晶構造を取り得ることは数学的な手法で指摘されていたが、この結晶が実際に存在できるかは謎だった。グループは原子間の距離など実際の炭素原子のデータを用いて計算。特定の条件下では安定して存在できるとの予測結果を得た。
計算によると、この結晶はダイヤモンドほど固くはなく、黒鉛よりは固い。電気を通すなど金属の性質を持つという。
黒鉛に極めて強い圧力をかけると出現する可能性があることも分かり、グループはこの結晶を安全に合成する手法の研究を進める。
川添教授は「新結晶の性質はさまざまな製品への応用に期待を抱かせる」と話している。