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2009年02月12日(木) 02時34分

<キヤノン工事>大分県有地を半値で購入 大光、事前に察知毎日新聞

 キヤノングループの工事を巡る脱税容疑で東京地検特捜部に逮捕された大賀規久容疑者(65)が社長を務める大分市のコンサルタント会社「大光」が、未公表だった県有地売却計画を察知し、キヤノングループ従業員寮として利用を持ちかけ、購入していたことが関係者の話で分かった。売却価格も周辺宅地相場の半値以下だった。

 用地は大分キヤノンマテリアルと県道をはさんで向かい合う、大半が元県有地だった1万8154平方メートル。一画に大光本社があり、敷地内にキヤノングループ2社の従業員寮6棟が建つ。

 県や関係者の話などによると、マテリアルの進出表明から1カ月後の05年7月、県がこの土地売却計画を立案。計画が公になっていなかった06年3月、大賀容疑者が県幹部(当時)に寮などへの利用を提案したという。

 この元県幹部は「県から大光に売却計画を教えたわけではない。向こうから利活用策を提案してきた」と説明。大賀容疑者を含め外部企業に購入の働きかけはしなかったが、県では大光への売却は「企業誘致」のケースとして扱われている。

 広瀬勝貞知事は「誘致にあたり、キヤノンのことをいろいろ教えてもらった」と毎日新聞の取材などに話し、この元幹部も「キヤノンに強い人」と印象を語っている。

 土地は07年1月、造成した県土地開発公社を通じ1億3898万円で売り渡された。入札はされなかった。1平方メートルあたり7655円で、当時の周辺宅地価格1万8000円の半値以下。県側は「マテリアルの用地造成工事で使われた重機を利用できたため、造成費が抑えられた」と説明している。

 マテリアルの用地造成では、県費約18億円が投入された。県土地開発公社は造成工事を鹿島に随意契約で発注し、造成地はキヤノンに50億円で売却する約束。造成費がかさみ約68億円となったが、公社は当初通り50億円で売却。県は差額を公社に補助金として補てんした。【梅山崇】

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