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2009年02月12日(木) 02時34分

<新銀行東京>再支援可能な条例案 融資焦げ付きを補てん毎日新聞

 東京都の石原慎太郎知事の主導で設立された新銀行東京(新宿区)が経営難に陥った問題で、同行の融資が焦げ付いた場合、都が損失を補てんすることを可能にする条例案が18日開会の都議会に提出されることが明らかになった。都の担当者は「特定の金融機関をターゲットにしていない」と説明するが、新銀行へのさらなる公的支援を可能にする内容で、論議を呼びそうだ。

 「東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例案」。都が「主として都内において営業活動を行う銀行、信用金庫、信用協同組合」と連携し、中小零細企業の資金繰りを支援する。都産業労働局によると、都が連携金融機関に貸し付け原資を預託することで、金利の引き下げを図る。融資が焦げ付いた場合、都が損失額の一定割合を補助するという。

 都は09年度一般会計当初予算案に事業費として300億円を盛り込み、年間融資規模は500億円を目標とする方針。同局担当者は「特定の金融機関をターゲットにしたり排除するものではなく、幅広く参加していただきたい」と話し、新銀行も対象になりうると説明している。

 新銀行は開業当初から無担保・無保証の中小企業向け融資を主力商品に掲げたが、融資焦げ付き額は08年1月末時点で約285億円に膨らんだ。08年9月期でも不良債権比率は17・08%に達し、債務超過・赤字企業への融資・保証は4879件362億円に上る。景気の悪化によって、焦げ付きの拡大が懸念されている。

 08年3月に都の追加出資400億円を認めた都議会は「今回限りの措置で、さらなる追加出資は許されない」などとする付帯決議を付けている。【木村健二】

◇大いに問題

 金融政策に詳しい山口義行・立教大教授の話 都が出すお金に色が付いているわけではないが、不良債権化した新銀行の融資先が都の負担で救済される可能性が高く、大いに問題だ。

【ことば】新銀行東京

 石原慎太郎知事が再選した03年4月の知事選で創設を公約。貸し渋りに悩む中小企業の支援を目的に、都が1000億円を出資して05年4月に開業した。ずさんな経営で累積赤字は08年3月期で1016億円に及んだ。旧経営陣を刷新して立て直し中だが、08年12月には金融庁から業務改善命令を受けた。

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