奈良県斑鳩町の法隆寺金堂(国宝)の天井に、現在は使われていない謎の金具が残っていることが12日、分かった。鈴木嘉吉元奈良文化財研究所長(建築史)は「布製の軽い天蓋(てんがい)をつるすための金具だった」との説を唱えており、金堂の建築過程を考える上で貴重な史料といえそうだ。
天蓋は仏像などの頭上にかかげる傘状の装飾具。現在の金堂には木製の箱型が3つあり、95—150キロと重いため、4つの金具で支えている。
謎の金具が見つかったのは東側の梁(はり)。リング状の2つが南北方向に25センチ間隔で並ぶ。寺で保管する創建当初の梁にも同じように金具の跡があり、戦前から戦後の約20年をかけて実施した金堂の大修理で梁を取り換えた後、同じ個所に取り付けたらしい。
同寺の伽藍(がらん)の様子を記した8世紀の文献には、693年に持統天皇から紫色の天蓋を賜ったとの記録がある。色に関する記述はこの天蓋だけで、鈴木元所長は布製と判断。金堂内の壁画に描かれているような唐風の天蓋が1つだけ、東側につるされていたと推測している。
(2009年2月12日11時45分 スポーツ報知)
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