記事登録
2009年02月12日(木) 06時02分

[知ってるつもり!?裁判員制度](3)会社休むため上司に報告はOK、飲み会のネタはNGスポーツ報知

 質問票に辞退希望を書いて返信したが、呼び出し取り消しの通知が来なかった場合、指定の「選任手続き期日」に裁判所に行くことになる。選任手続きは公判初日の午前中。ちなみに、正当な理由がなく出頭しないときは10万円以下の過料に処される場合がある。

 当日、急な病気や事故で裁判所に行けなくなる人もいるはず。司法関係者は「裁判所もさすがに入院中の人は引っ張り出せない」とのこと。「呼ばれたら、当日わざと軽く事故る」という計画を温めている人…これはもう「自己責任で」というほかはない。

 さて裁判所に行くに当たって、会社を休まなくてはならない人も多いはず。ところが罰則こそないものの、裁判員候補者になったことは「公にしてはならない」と定められている。

 「公」って、どこからどこまで? 関係者によると、それは「人数では決められていないが不特定多数が知りうる」状態らしい。インターネットで「裁判員候補に選ばれた」と公表するのはNGとされているが、会社を休むのに、職場の上司らに報告することは問題ない。必要な範囲なら職場の仲間に知らせるのも構わないようだ。

 それでは職場の掲示板に「久保 裁判員で休み」などと書いて告知するのはどうか。同僚しか見ない掲示板ならOK。社外の人の目につくような環境なら、書かない方がよさそうだ。

 飲み会で「裁判員に選ばれた」とはしゃぐのも控えた方が好ましく「必要がなきゃ言わない」姿勢が無難。飲食店経営者が「裁判員のため休みます」と張り出すのも「公表にあたる可能性は高い」とのことだ。

 ところで裁判所に行き、裁判員に選ばれれば、数日間は会社を休まなければならない。「会社の人間関係が気まずくなる」と心配する人もいるだろう。

 最高裁発行の「よくわかる!裁判員制度Q&A」では「雇用者が解雇など不利益な扱いをすることは法律で禁じています」として、会社員が上司から「重要なお役目じゃないか〜がんばれよ!」「我が社では有給休暇にしていいんだよ」などと快く送り出される場面が愉快な漫画で描かれている。

 しかし、そんなにうまいこといくだろうか。上司は快く送り出してくれても、現場の仲間や直属の先輩からは「この忙しいときに!」と思われるかもしれない。世の中には「目に見えない圧力」というものもある。しかし、もちろんそんなものは辞退する理由にならない。

 「司法に市民感覚を取り入れる裁判員制度」だが、「裁判員制度」の方では、日常の市民感覚に必ずしも配慮してくれるとは限らないのだ。

(2009年2月12日06時02分  スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090212-OHT1T00060.htm