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2009年02月12日(木) 17時15分

対馬・琴御岳でツシマヤマネコ撮影成功、2度目の生息確認読売新聞

琴御岳国有林の暗闇に姿を現したツシマヤマネコ(三根森林事務所提供)

 長崎森林管理署が、国の天然記念物ツシマヤマネコの保護活動に取り組んでいる対馬市上対馬町の琴御岳(きんみたけ)国有林で、ツシマヤマネコの撮影に成功していたことが分かった。

 同国有林内では、以前からふんは見つかっていたが、野生の姿が確認されたのは2度目。環境省対馬野生生物保護センターの佐々木真二郎・自然保護官は「長年にわたり、山づくりのプロが生息環境づくりに取り組んできた成果」と話している。

 同管理署三根森林事務所が設置し、1月末に回収した自動シャッター付きのデジタルカメラに写っていた。昨年12月19日深夜の撮影で、顔の縦じま、体の斑点、太い尾などツシマヤマネコの特徴をとらえている。健康状態は良さそうで、比較的若いと見られる。

 同管理署の厳原、三根両森林事務所は希少野生動植物種保護管理事業として、1993年度から、島内5か所、計約700ヘクタールを対象に、下草が生えるようにスギ、ヒノキの間伐や枝落としをしたり、計5か所の水飲み場を設けたりし、ふん採取のための巡視活動などに取り組んできた。

 97年度からはカメラを設置。毎月1回フィルムを回収して状況を観察してきた。昨年6月頃には同国有林内の水飲み場に現れたツシマヤマネコの撮影に成功したが、撮影日時を特定できなかったことなどから公表しておらず、同7月、デジタルカメラに交換した。

 新年度は水飲み場やカメラの設置台数を増やす方針で、厳原森林事務所の遠坂洋志・技術専門官は「水飲み場を利用するなど、今までの取り組みの成果が撮影につながったと思う。今後もツシマヤマネコに優しい森づくりを進めていきたい」と話している。

 佐々木自然保護官は「琴御岳国有林で生息していることが改めて確認された。こうした取り組みは心強く、意義あることと思う」と評価している。(島居義人)

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090212-OYT1T00693.htm