【シドニー=岡崎哲】オーストラリア南部ビクトリア州を襲った山火事の被災地で、消火活動中の消防士が衰弱したコアラ1匹を救出、地元メディアが大きく報じた。コアラは順調に回復し、死者181人という未曽有の被害を受けた豪州国民に希望を与えている。
報道によると、消防士のデビット・ツリーさん(44)が、メルボルンの南東150キロの焼け焦げた山中で、脚を引きずっているコアラを発見。消防車を止めて近寄り、500ミリ・リットル入りのペットボトルの水を口元に差し出すと、コアラはやけどを負った前脚でツリーさんの手を握り、3本を飲み干したという。
同僚が、携帯電話でその模様を動画撮影。インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介されると、12日までの3日間で少なくとも62万回閲覧された。「サム」と名付けられたコアラは、メルボルン郊外の動物保護施設に移送された後、メスと判明。四肢にやけどが確認されたが、回復中で、別に保護されたオスのコアラと仲むつまじい様子を見せているという。