自民党の小泉元首相は12日夕、党本部で開かれた「郵政民営化を堅持し推進する集い」の役員会で、麻生首相の郵政民営化を巡る一連の発言を厳しく批判すると共に、定額給付金事業を盛り込んだ2008年度第2次補正予算関連法案の衆院での再可決に慎重な姿勢を示した。
党内に強い影響力を持つ小泉氏が反麻生の旗幟(きし)を鮮明にしたことで、麻生首相の政権運営が一段と厳しくなることが予想される。
この日の会合で、小泉氏は、麻生首相が5日の衆院予算委員会で「郵政民営化に賛成ではなかった」とした発言などについて「怒るというよりも笑っちゃうぐらい、ただただあきれてしょうがない」と酷評した。さらに首相と10日に電話で会談した際、「首相の方針に若手が批判的な意見を出すと『後ろから鉄砲を撃つな』と抑え込みがかかるのに、衆院選でこれから戦おうという人に前から鉄砲を撃っているじゃないか。発言には気をつけてくれと伝えた」ことを明らかにした。
定額給付金事業を盛り込んだ2008年度第2次補正予算関連法案については、「(衆院再可決を規定した憲法の)3分の2(条項)を使ってでも成立させなきゃならないとは思わない。もっと参院の意見と調整し、妥当な結論を出してほしい」と述べ、政府・与党の再可決の方針に異議を唱えた。
同関連法案は与党から16人が反対すれば3分の2の再可決ができなくなる。自民党内には、定額給付金に対する批判がくすぶっており、小泉氏の発言に呼応して16人以上の造反者が出る可能性もある。
また、小泉氏は「いずれ9月までには国民の信を問わなければならない。政治で一番大事なのは信頼感。特に首相の発言に信頼がなければ、選挙が戦えない」と語った。
◆小泉発言のポイント◆
▽最近の首相の発言には、怒るより笑っちゃうぐらいあきれる。
▽定額給付金は衆院再可決を使ってでも成立させなくてはならない法案だとは思わない。
▽首相が前から(選挙を)戦う人に鉄砲を撃っている。「発言には気をつけてくれ」と言っておいた。
▽9月までには国民に信を問う。首相の発言に信頼がなければ選挙が戦えない。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090212-OYT1T00960.htm