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2009年02月12日(木) 00時00分

町田の施設・立野さん、冊子に体験記読売新聞

脱サラ介護士48歳やりがい
ケアセンター成瀬のスタッフと打ち合わせする立野さん

 サラリーマンから介護士に転身し、町田市の社会福祉法人「創和会」が運営する「ケアセンター成瀬」で働く立野繁雄さん(48)。その介護現場でのエピソードをつづった体験記「笑顔に輝き、救われて」が、市高齢者福祉施設運営協議会(加藤千恵子会長)が発行した冊子で紹介されている。厳しい労働環境から担い手不足が深刻な介護の現場だが、立野さんは「給料は低いが、やりがいがある。これだけ感謝の言葉を言ってもらえる仕事はない」と話している。

 同センターは、認知症などを患っている高齢者を1日〜3週間預かる施設。

 立野さんは5年前、「人にかかわる仕事がしたい」と、25年間勤めた自動車部品会社を早期退職。3年間、夜間の介護専門学校に通い、介護士の資格を取得した。資格の勉強中は、同センターでアルバイトとして働き、介護の仕事に慣れていった。

 体験記では、パーキンソン病を患った70歳代男性との介護を通じた交流を紹介した。

 男性は当初、歩行器を使わないと歩けない状態だったが、「面倒くさい」と薬を正しく服用せず、治療に後ろ向きだった。しかし、介護士たちと心が通い合うようになると、治療に一生懸命取り組むようになった。次第に歩行器なしでも歩けるようになり、最終的には腹筋や腕立て伏せを日課にするまで回復した。男性の家族からは「こんなに変わるなんて、全く想像できなかった」と感謝されたという。

 立野さんは「利用者と人生の一部を共にするようになるうちに、人が変わっていく、人が生き返ってくる、生きることの輝きが見えてくるようになる」と、介護の妙味をつづっている。

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 冊子「支え合ういのちの輝き〜利用者から頂いた感動・介護のこころ」には、介護士や介護支援専門員11人のエピソードを掲載している。冊子の編集委員を務める総合福祉ホーム「芙蓉園」の多田周史園長は「ネガティブにとらえられがちな介護の仕事の魅力を知ってもらいたい」と話す。

 A5判60ページ。3000部が発行され、福祉科目を設けている専門学校、高校に教材として配布された。非売品。問い合わせは芙蓉園((電)042・796・2736)へ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20090211-OYT8T00950.htm