日本郵政の宿泊施設「かんぽの宿」のオリックス不動産(東京)への一括譲渡が白紙見通しとなっている問題で、総務省は12日、売却対象のうち主要な物件について、2008年度内に独自に不動産鑑定を実施する方針を明らかにした。
資産価値の独自鑑定により、日本郵政が売却予定額のめどとした「79施設で123億円」(負債などを除く)が妥当だったかどうか検証する。
土地と建物の取得額が約286億円だったが、日本郵政側の鑑定に基づく帳簿価格は約15億円にとどまった、さいたま市の施設「ラフレさいたま」などが鑑定の対象となる見通しだ。
この日の記者会見で滝野欣弥総務事務次官は「(法に基づいて命令した)日本郵政からの詳細な資料提出の期限として16日を想定しており、独自の評価と照らし合わせて今回の入札の適切性を判断していく」と述べた。
かんぽの宿譲渡をめぐっては、鳩山邦夫総務相がオリックス不動産への売却契約に疑念を示し、売却の前提となる宿泊事業の分割を認可しないと明言。日本郵政は契約を事実上、白紙撤回し、近く社内に設置する不動産鑑定士らで構成する検討委員会で、不動産売却のルールを抜本的に見直す。