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2009年02月12日(木) 21時36分

積み立て不足の穴埋め猶予 企業年金、運用悪化で検討東京新聞

 厚生労働省は12日、昨年からの株価急落で企業年金の運用が悪化していることから、確定給付企業年金と厚生年金基金を持つ企業について、年金給付費の積み立て不足が生じても不足分を即座に穴埋めしなくても済むよう、猶予措置を講じる方向で検討に入った。

 企業年金では、積み立てた掛け金を株式などで運用して退職従業員に年金を給付しているが、2008年度の運用利回りは金融危機直撃でマイナス20%近くまで低下するとの観測もある。厚労省は08年度決算が出そろった段階で具体的に対策を決める。

 現在は、積み立て不足が規定額の15%を超えた場合、追加の掛け金拠出による不足穴埋めを企業に求めているが、この基準を緩和する方向。多くの企業で業績が低迷しており、基準を厳格に適用すれば、追加拠出に耐えられない母体企業が企業年金の廃止や縮小に動きかねず、従業員の老後保障を脅かす可能性があるためだ。

 厚生年金基金で積み立て基準を緩和した例は過去にあるが、大企業が多い確定給付企業年金では初めて。厚労省によると、米国や英国、オランダでも基準緩和が検討されているという。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021201000954.html