宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」の舞台とされる瀬戸内海の景勝地・鞆の浦(とものうら)で、広島県や福山市が進める埋め立て架橋事業は「景観破壊など失われる利益が大きい」として、反対派住民らが埋め立て免許の差し止めを求めた訴訟が12日、広島地裁(能勢顕男裁判長)で結審した。判決日は後日指定される。
原告の特定非営利活動法人(NPO法人)代表松居秀子さんは意見陳述で「国民同意の取り付け」を県・市側に求めた1月の金子一義国土交通相発言に触れ、「自治体はこの発言を真摯に受け止め、住民との協働によるまちづくりに取り組んでほしい」と強調。
これに対し、県・市側は「安全安心なまちづくりのために不可欠な事業で、観光客の利便性も向上する」と反論した。
訴状などによると、県と市は交通渋滞解消などのため、港の一部約2ヘクタールを埋め立て、約180メートルの橋を含む道路の建設を計画。県は昨年6月、埋め立て免許について中国地方整備局に認可申請したが、審査は中断している。