戦時中、旧満州(中国東北部)に移住し、戦後取り残された中国残留婦人の鈴木則子さん(80)ら3人が「早期帰国への努力や帰国後の十分な自立支援策を怠った」として、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は12日、原告の上告を退ける決定をした。原告敗訴の1、2審判決が確定した。
中国残留孤児や婦人をめぐっては、全国で約2200人が集団提訴。給付金など新たな支援策が実現したことから、2007年以降、取り下げによって各地の訴訟は相次いで決着。集団提訴グループとは別に起こしていた鈴木さんらの裁判が、最高裁で結論が出た初のケースとなった。
厚生労働省によると、中国残留孤児・婦人をめぐる訴訟は、今回で実質的に終結したという。
決定は「上告理由に当たらない」としたが、4人の裁判官のうち、弁護士出身の宮川裁判長は「支援策が早期、適切にされたか議論の余地がある。新たな支援策の実現にも時間がかかっている。事件を受理し、判断すべきだ」と反対意見を述べた。