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2009年02月12日(木) 03時09分

霊感商法「神世界」を賠償提訴へ、被害者20人が1億円余求め読売新聞

 神奈川県警の元警視らが関与したとされる山梨県の「神世界」グループによる霊感商法事件で、虚偽の説明で不安をあおり高額な祈願を受けさせたなどとして、東京都や神奈川県などの主婦や会社員ら約20人が3月上旬、神世界を相手取り、慰謝料など計約1億1000万円を求めて東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こす。

 被害対策弁護団によると、神世界に対する集団提訴は全国初で、今後の追加提訴も予定している。同県警も霊感商法による巨額詐欺事件とみて捜査を進めている。

 弁護団によると、原告は2004〜07年末、神世界系列のヒーリングサロンなどに通い、「心身の不調は先祖の霊のせい」と脅されるなどして、「ご霊光」と呼ばれる高額の祈とう料や仏画などの霊感商品代としてそれぞれ200万円以上を支払ったとしている。がん闘病中にサロンへ通い、「薬を使ってはいけない。ご霊光でがんは治った」などと指示され、症状を悪化させた人もいるという。

 弁護団は昨年9月までに、87人の被害額として計約2億4600万円の返金を神世界に請求。神世界側は、和解を持ちかけたり、「請求額の90%なら応じる」などとの回答を繰り返していたが、弁護団は「本来、全額が返されなければならない」として提訴に踏み切った。

 事件を巡っては、同県警警備部の警視がサロン運営に関与していたことが発覚。昨年2月に懲戒免職となったほか、県警本部長らの監督責任も問われた。また、北海道大学の准教授が自宅をサロンとして提供したなどとして諭旨解雇処分を受け、1月に辞職した。

 ◆「神世界」グループによる霊感商法事件◆

 神奈川県警などによると、神世界は有限会社で2002年3月からこの名称で活動を始めた。07年12月、県警は霊感商法を行っているとして、山梨県甲斐市の本社や都内のサロンなど100か所以上を詐欺容疑で捜索。弁護団によると、会員数は5000〜6000人、被害額は直近の3年間だけでも100億円を超えるとみられる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090212-OYT1T00097.htm