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2009年02月11日(水) 08時02分

中国、ウイグル人東大院生釈放 日本へ出国は不透明産経新聞

 【北京=矢板明夫】東京大学大学院に留学中の1998年2月、一時帰国した中国で国家分裂を扇動したとして逮捕された、新疆ウイグル自治区出身のウイグル人男性、トフティ・テュニヤズ氏(49)が10日、11年の刑期を終えて釈放されたことが関係者の話で分かった。同自治区ウルムチ市の刑務所を出所したトフティ氏は姉とともに、警察車両で親族の家に向かったという。 

 トフティ氏は北京の大学を卒業した後、日本に留学し東大でウイグル民族史を研究していた。ウイグルの歴史に関する書物を出版しようとしたことや、一時帰国中に同自治区の公文書館で歴史資料をコピーしたことなどを理由に、国家分裂扇動罪に問われ、懲役11年の判決を受けた。

 トフティ氏の逮捕をめぐっては、無実を信じる東大の教員らが救出活動を展開していた。国連人権委員会も2001年5月、同氏への有罪判決は国際人権規約に反するとして、中国に善処を求める勧告を行った。また、昨年5月に中国の胡錦濤国家主席が来日した際、安倍晋三元首相が「無事釈放され、日本に帰ってくることを希望する」と胡主席に直接要請していた。

 トフティ氏の妻のラビヤさん(45)ら家族は日本に在住しており、支援者たちは東大大学院への復学を望んでいる。しかし報道によると、トフティ氏は2年間の政治権利剥奪(はくだつ)処分を受けており、旅券が発給されない可能性があるという。過去には、共産党指導部の政治判断で民主運動家らの出国が認められたケースもある。

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