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2009年02月11日(水) 00時00分

国技館「第九」へ5000人猛げいこ 読売新聞

25回目公演22日本番
北川さんの指導で「第九」を練習するコンサート参加者(今月6日、江戸東京博物館ホールで)

 25回目となる「国技館5000人の第九コンサート」を今月22日に控え、合唱の練習が佳境に入っている。墨田区に両国国技館が戻った1985年以来、年に1度希望者が集い、ベートーベンの交響曲「第九」を歌っている。今回は39都道府県と欧州連合(EU)ほか5か国から、4〜93歳の5179人が「歓喜の歌」に挑む。6日の練習を訪ねた。(伊藤史彦)

 「譜面見て。スタッカート!」。ステージ上から、合唱指揮の北川博夫さん(63)の指示が飛ぶ。観客席で歌う約400人が歌をそろえていく。国技館隣の江戸東京博物館ホールでの一斉練習。北川さんは軽妙な語り口で指導していく。「目はぱっちり。少し上を見て、背筋はまっすぐ。そう、とても偉そうだ!」。会場から爆笑が起こった。

 練習は昨年10月以降、同博物館のほか、すみだリバーサイドホールなど、区内外で週2回程度こなしてきた。北川さんほか約60人の音楽家が指導に携わってきたという。

 観客席では、「国技館すみだ第九を歌う会」事務局長の石井貞光さん(72)が見守っていた。25年前は、参加者を募集すると「大工がどうした?」との誤解もあったという。それがいまやドイツ大使館ばかりか、「自由と平和への賛歌」として第九を「欧州の歌」としているEUからも応援されるまでになった。

 「第九を立派に歌い上げるのに5年は必要。だから、5年サイクルで参加する人が多い」と石井さん。一方で、初参加者も毎回、全体の2〜3割を占める。「ネットで申し込む人が増えてきた。大抵は若者で、やっぱり声の張りが違う」

 本番を前に、25回連続で参加している弁理士の向寛二さん(77)は語る。「思いっきり歌えるのが一番楽しい。専門ぶった合唱団は苦手」。常に楽譜を持ち歩き、電車内などで読み込む。「第九は今でも難しい。体力が続く限り、挑戦していきたい」と話す。

 初めて参加するという練馬区の佐藤悦子さん(59)は「ほかの合唱団で第九を歌ったことがある。ここは素人向けに教えてくれて助かる」と楽しそう。

 一方、小2の諏訪さくらさん(8)は、母親と一緒に参加した。「難しいけど、声を出すときが楽しい」とちょっとはにかみながら話してくれた。

 本番は22日午後2時から。20回以上参加した会員約400人の表彰なども行われる。全席指定で升席B(3000円)が若干、残っている。問い合わせは区文化振興課(電)5608・6180へ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090211-OYT8T00120.htm