【ソウル11日共同】中曽根弘文外相は11日午前、柳明桓外交通商相とソウル市内の外交通商省で会談した。この後の共同記者会見で、柳氏は韓国で暮らす金賢姫元北朝鮮工作員と拉致被害者田口八重子さんの家族との面会について「遅からず実現すると承知している」と述べ、時期などを調整していることを明らかにした。両外相は、韓国との政治的、軍事的対決解消を目指した南北合意の無効化を宣言するなど、北朝鮮が強硬姿勢を鮮明にしていることに対し「望ましくない」と批判、冷静に対応していくことを申し合わせた。
中曽根氏は李明博大統領とも青瓦台(大統領官邸)で会談、日韓関係をめぐり意見交換した。
金元工作員は1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯で、田口さんが日本語を教えたとされる。金元工作員と家族双方が面会を希望、日本政府も実現を要請していた。
外相会談では、16日からのクリントン米国務長官の東アジア歴訪を踏まえ、北朝鮮の核廃棄を図るため6カ国協議での「日米韓連携の維持、強化が重要」と確認。中曽根氏は日本人拉致問題の解決に向け協力を重ねて要請、柳氏は「できる限りの支援をする」と応じた。