郵政民営化見直しや定額給付金をめぐる麻生太郎首相の“迷走発言”は、(1)その場の雰囲気に流されたうっかり発言(2)過去の自身の発言との矛盾露呈でピンチ(3)一貫していると強弁で押し通し−という経過が定着しつつある。これに首相の「言葉足らず」が加わり、真意がうまく伝わらないまま波紋ばかり広がっていくのがいつもパターンだ。
首相は自身が総務相を務めた小泉内閣の郵政民営化方針に関し5日、「賛成でなかった」と述べた。4分社化の経営形態見直しの必要性を訴えた勢いで飛び出した発言だったが、閣議決定に署名したこととの矛盾を指摘され、9日に「民営化した方がいい、最終的にはそう思った」と修正。しかし記者団には「修正ではない。最初から正直に申し上げている」と強調した。
また首相は5日、総務相当時の所管をめぐり「郵政民営化の担当大臣ではなかった。ぬれぎぬをかぶせられると甚だ面白くない」と不快感を表明。ところが昨年9月の自民党総裁選で「間違えてもらっては困るが、私が総務相として郵政民営化を担当した」と発言していたことが判明した。このため10日には「総務相を2期務め、1期目は間違いなく担当した。2期目に外された」とつじつまを合わせた。