岡山県倉敷市の元中学校長の男性=当時(70)=が、川崎医大病院(倉敷市)の医師に病理検査結果を見落とされ悪性中皮腫で死亡したとして、大阪市の遺族が病院側に3000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に12日に提訴することが11日、分かった。
訴状などによると、男性は2003年1月、川崎医大病院で気胸の手術を受け、病理医は摘出した肺組織の病理検査で肺と胸膜の中皮腫の疑いを指摘する書類を作成した。しかし、担当医はこの書類を見ず、男性は詳しい検査や治療を受けずに退院した。
同6月には気胸の再発で再入院。その後、2年半に17回通院して、胸の痛みや息苦しさを訴えたが「異常なし」とされた。06年1月、エックス線検査で胸膜肥厚が見つかり入院。末期の悪性中皮腫と診断され、化学治療を始めたが、5月末に死亡した。
病院はミスを認め謝罪したが、「治療しても死亡は避けられなかった」とミスと死亡の因果関係は否定したという。