揖斐川上流の徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の貯水を長良川と木曽川に流す導水路事業で、事業を進める国と水資源機構が予定していた工事の着工時期が、岐阜県が求める環境調査の徹底などで遅れ、2008年度内から09年度にずれ込むことが10日、分かった。
水資源機構の担当者は10日の記者会見で「3月末までの着工は大変厳しい」と述べるにとどめた。しかし、国と機構は環境アセスメント法に準じる形で環境への影響を調査中で、関係自治体や住民の意見聴取の手続きに要する期間などから、09年度へのずれ込みが確実となっている。
岐阜県は10年に長良川を舞台に「全国豊かな海づくり大会」を開くこともあり、事業が環境に及ぼす影響を警戒。昨年11月、国と機構が示した調査項目や手法に119項目の意見を提出し、着工前に知事と協議する確約を双方から取っている。
<木曽川水系連絡導水路事業> 主に愛知県と名古屋市が徳山ダムの水を利用するため、揖斐川から双方の取水施設がある木曽川に直径4メートル、全長43キロの地下水路を引く計画。2015年度完成予定。総事業費890億円で国と愛知、岐阜、三重各県、名古屋市が負担する。
(中日新聞)