文部科学省の立ち入り検査を受けた財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)の大久保昇理事長が代表取締役を務める広告会社「メディアボックス」が、協会から委託された業務を広告代理店に再委託していたことが10日、関係者の話で分かった。
文科省は同社が業務を全くせずに利益を得ていた可能性もあるとみて調査している。
協会関係者によると、同社に委託された業務は実際は協会が直接、広告代理店に発注。広告原稿の校正などは協会職員が代行していたという。
協会が広告代理店などに広告業務を発注すると、請求書はいったんメディアボックスに渡る。同社は広告代理店の請求書に協会からの委託費を上乗せし協会に請求。協会はメディアボックスに上乗せ分を加えて支払っていたとみられる。
6日の評議員会で「メディアボックスの従業員数は」と質問が出た際には大久保理事長が「ほとんどいない」と答え、「漢検の隆盛はひとえにメディアボックスによる」と声を荒らげたという。
民間の信用調査会社によると、メディアボックスは従業員2人。教育機関の広告制作、漢字能力検定試験のポスターやパンフレット作成が主な業務とされる。文科省によると、委託料は2006−08年度で約8億円あったことが明らかになっている。