親の家計負担を軽くする意味からも、ぜひとも成就させたいのが大学生の就職だ。だが、現在の大学3年生が2010年春の入社を目指して取り組んでいる就職活動は、景気低迷を受け、これまでの「売り手市場」から一転、厳しくなっており、学生も危機感を強めている。(経済部 田中左千夫)
人材教育会社のシェイク(本社・東京)が、3年生向けに開いた就職活動支援セミナー。例年は10〜12月に開いていたが、今シーズンは参加者が一気に倍増し、1月にも追加で実施した。森田英一社長は「内定取り消し問題などで学生の意識が一変した」とみる。
ある参加者は「就職を考えていた2社から1月に『採用を中止する』との通知を受け、厳しさを実感した」と打ち明ける。別の参加者は「学内の動きは前の年より早い。友人などは、大手だけでなく中小企業にも問い合わせをしている」と話す。
こうした学生の危機感は杞憂ではないようだ。
人材採用支援会社のレジェンダ・コーポレーションが1月に発表した調査では、採用人数を昨シーズンより減らす予定の会社は51%もあった。調査した企業全体の採用予定者数は、2か月前の調査より25%も少なくなっていた。景気が一段と悪化すれば、実際の内定者数はさらに減る可能性もある。
逆風を受け、大学も対応に懸命だ。東洋大は学内に企業を招いて行う会社説明会を、1か月前倒しして1月に始めた。参加者が前年の3倍に膨らんだ社もあり、学生の評判は上々のようだ。
関西学院大は、面接に強くなるための「模擬面接」を2月に始めた。同大は「学内での説明会を中止した企業もある。経費削減のために採用活動を早々に切り上げる企業も多いかもしれない」と予想し、“先手必勝”で取り組む構えだ。
シェイクの森田社長による就職活動の3か条
・今から業種を絞らない。会社説明会などで多くの業界を見て視野を広げよう。
・上場会社ならIR(投資家向け)情報は必見。業界紙も会社への理解を深めるのに有効です。
・OB訪問などでは、この不況で会社がどう変わったか質問する。会社の方向性が見えてきます。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090211ok04.htm