公益法人では認められない多額の利益を上げていたとして問題になっている財団法人「日本漢字能力検定協会」(大久保昇理事長)で、新事業開発資金など将来の支出に備える引き当て資産の積立額が約43億円にものぼることが10日、分かった。9日に協会に立ち入り検査を行った文部科学省の調査で発覚した。塩谷立文科相は「とても公益性があるとは言えない」と批判。同省は、協会に異常な“巨額積み立て”の説明を求めている。
またまた、漢検協会のおかしな実態が明らかになった。文科省などによると、協会は2007年度に約72億円の収入があったが、新事業開発資金に3億6000万円、建設資金に1億2000万円など引き当て資産4項目に計約5億4000万円を繰り入れていた。
これら引き当て資産の積立額は、06年度の約38億円から5億円増えて約43億円に膨らむことになった。文科省では「具体的な目的が明確でない」とし、協会に説明を求めている。
また、協会が「資料館にする」として03年7月に購入した京都市内の土地や建物が、事前に協会理事会で購入の承認を得た物件とは異なることも判明。協会は「(金額などが)同程度の物件なら、変更も含め事務局に一任することになっていた」と文科省に報告しているという。
これらの問題で、塩谷立文科相は10日の閣議後の会見で「今の状況ではとても公益性があるとは言えない」と批判。資産の実態などを把握した上で、あらためて是正を求める指導を行う考えを示した。
過去の検査などで、大久保理事長や親族が役員を務める企業との取引を把握できていなかった点については「結果的にはもっと指導を徹底すべきだった。多少、甘かったと言えば、甘かった」と述べ、文科省の対応が遅れたことを認めた。
漢字検定事業に対しては、受検者が年々増えて高校入試、企業の採用などに活用されていることなどから「すばらしい事業」とし、今後も支援していく考えを示した。
(2009年2月11日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090211-OHT1T00059.htm