麻生内閣の一員、早川忠孝法務政務官(63)は10日、09年度予算関連法案成立後に政務官を辞任する意向を表明したが、わずか4時間後に発言を撤回した。政界再編まで視野に入れるほどの意気込みから一転「任期いっぱい職責を果たす」と、麻生太郎首相(68)を思わせるブレブレぶり。迫る総選挙を前に、低支持率にあえぐ政権から逃げ出したい議員が存在することが明白になった。
麻生内閣は末端までブレブレだった。10日午後3時すぎ、辞任撤回会見をした早川氏は「内閣の一員として軽率だった。任期いっぱい職責を果たしたい」と平身低頭に語った。撤回理由を今後の国会審議や5月に開始する裁判員制度への対応などを挙げ「法相から法律の専門家が身近にいる重要性をいただいた」と森英介法相(60)の慰留で辞任を翻意したことを明かした。
早川氏は旧自治官僚、弁護士などを経て、03年に埼玉4区で初当選。政務官には昨年8月に就任した。
騒動の発端は9日付の個人ブログだった。同日午後5時20分の更新で「予算が成立して私の責任を果たしたら政務官を辞任する」と唐突に表明。辞任後は「政界再編のために、新党設立も視野に入れて」活動することを宣言。この日午前11時にも法務省で、辞任の意向を再び明言。「民主党の若手や参院議員に常にメッセージを送っている」と、ライバルとの連携まで示唆した。
だが、半日ももたずに“陥落”。ブログも「辞任」の文言をあわてて削除した。“本家”の麻生首相を思わせる発言のぶれっぷりだった。
早川氏は以前から不満分子の顔をのぞかせていた。7日付のブログで首相の郵政民営化見直し発言を「歴史的大暴言」と批判。早川氏は首相と距離を置く自民党の中川秀直元幹事長(65)に近いとされ、6日付では所属する町村派内の中川氏の「降格人事」に関し、派閥のドン、森喜朗元首相(71)にもかみつき「政治家がいったん口に出したことは、もう元に戻らない」とも記していた。
麻生内閣では、先月13日、離党した渡辺喜美元行革相(56)が反対した08年度第2次補正予算案の衆院本会議での採決で、内閣政務官だった松浪健太氏(37)が造反、その後罷免された。早川氏の造反未遂で、政策や首相の発言への不満は党内だけでなく、政権内でも“臨界点”に迫っていることが証明された。
それもこれも低空飛行が原因だ。今週報道された各社世論調査の内閣支持率は共同通信18・1%、読売新聞19・7%、朝日新聞14%と軒並み20%割れ。発言のぶれが続く首相について、鳩山邦夫総務相(60)は「言葉の端々に表れる事柄で国民に正しく理解してもらえない部分が最近目立っている」と指摘。民主党とのせめぎ合いが続く今後の国会運営に不安を残した。
(2009年2月11日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090211-OHT1T00069.htm