2008年の一世帯当たりの実質消費支出額は約350万円で、前年比1・9%、金額にして約7万円それぞれ減少したことが第一生命経済研究所の試算で11日、分かった。比較可能な1978年以降で減少した割合、金額ともに最大。不況や収入減を背景に、消費者が食べ物や衣服といった生活必需品の節約を強めている実態が浮き彫りになった。
家計の引き締めが長期化すると消費不振が深刻化し、商品価格も低下してデフレに突入する恐れがある。需要を喚起する商品やサービスの開発が流通各社やメーカーの緊急課題となってきた。
減少割合がこれまで最も大きかったのは、金融危機時の98年(約6万9000円減)と天候不順で消費が低迷した06年(約6万6000円減)の1・8%減だったが、08年はそれらを上回った。
費目別に見ると、支出の中心である食費が2・1%(約1万7000円)減った。外食が手控えられ自炊をする人が増えた上、食料価格高騰でパンの需要が減って「コメ派」が増加。「被服および履物費」も3・5%減、リフォーム需要の落ち込みで住居費も4・6%減った。
一方、省エネ家電の人気で家具・家事用品は3・7%増えるなど、今後の支出抑制につながる商品にはお金を使う傾向も見える。
永浜利広同研究所主席エコノミストは「雇用不安などで家計の引き締めは今年も続く。ユニクロの(衣料品の)ように、消費者に評価される商品だけが売れる『独り勝ち』の傾向が強まるのではないか」と分析する。
同研究所は総務省の家計調査を基に、世帯構成の変化や物価の影響などを調整し、実質的な支出額を試算した。
(2009年2月11日20時37分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090211-OHT1T00261.htm