国が計画、実施する道路やダムなどの建設費や維持管理費の一定割合を地方が負担する「国直轄事業負担金制度」について、三十六都道府県が「国が全額負担すべきだ」「地元に事業内容の決定権がない」などと問題視していることが十日、共同通信の調査で分かった。
事業決定に十分に関与できぬまま負担を強いられる同制度に地方側の不満は強く、分権を目指す全国知事会から負担金の在り方について見直しを求める声が強まるのは必至だ。
また直轄事業とは別に、中央省庁の官僚の「天下り」先となることも多い公益法人への委託料などについて、二十八都道県が支出総額を把握していないことも判明した。
国直轄事業負担金の軽減や廃止を求めたのは、宮城、神奈川、兵庫など三十二道府県。栃木、東京など四都県は事業決定で地方側に裁量がない仕組みを問題と指摘した。
ただ大阪府の橋下徹知事のように二〇〇九年度予算で国に負担金減額を求めることについては、「地方財政法で支払いが義務付けられている」などとして、積極的に行うとの回答はなかった。
一方、高速道路などのインフラ整備に寄与していることを理由に「地域の事情があり一概に言えない」としたのは青森、高知、長崎など十一県。愛媛は「インフラ整備が遅れており、制度自体は否定しない」と答えた。
国土交通省によると、国直轄事業に絡む地方側の負担金は〇八年度で計九千百八十三億円。共同通信の集計では〇八年度の最多は北海道で千二百五十二億円、最小額は沖縄の三十六億円だった。
国交省道路局は「地方側の受益を考えれば合理的な制度。地方との情報交換については改善していく努力をしたい」としている。
調査は都道府県知事や財政担当の幹部に聞き取りや書面で実施した。