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2009年02月11日(水) 23時17分

労働党退潮、右派勢力伸張 イスラエル総選挙産経新聞

 【エルサレム=黒沢潤】イスラエルの総選挙の結果、労働党の退潮ぶりが一段と鮮明となった。2005年のカディマ結成前は、リクードと並ぶ二大政党の一翼を担った労働党の退潮は、パレスチナ情勢とイスラエル世論の移り変わりを浮き彫りにしている。

 約40年の歴史を誇る同党は、ラビン党首(元首相)時代の総選挙(1992年)で、44議席を獲得したこともあった。しかし、2000年に第2次インティファーダ(反イスラエル占領闘争)が起き、「中東の和平プロセスの“死”」(ヘブライ大学のハイダル教授)を迎えると、03年には19議席、今回は13議席と第4党にまで落ち込んだ。

 労働党の退潮の裏返しが右派の伸長といっていい。ラビン党首が締結したオスロ合意は結局、安定した和平を生まず、レバノン南部占領を終えるためイスラエル軍が2000年に徹底すると、6年後にはレバノンのヒズボラとの間で武力紛争まで起きた。

 イスラエルの政治学者ダン・ダイカー氏は、「イスラエルがパレスチナや周辺勢力に和平を差し出しても、その恩恵が鏡のように(逆さになって)跳ね返ってくる」と分析する。

 イスラエルはシャロン政権時代の05年にも、ガザ入植地から全面撤退した。だがその結果は、ハマスからの激しいロケット弾攻撃だった。今回のガザ攻撃でハマスの伸長を招いたとの与党批判も起き、イスラエル国内では「強い政党」が求められた。アラブ系住民の排斥を叫ぶ極右「わが家イスラエル」の躍進はその証左といえる。

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