麻生太郎首相は十日、郵政民営化を争点として自民党が大勝した二〇〇五年の郵政選挙(衆院選)に関し、四分社化された経営形態の是非そのものは問われなかったとの認識を示した。四分社化見直しの必要性があると表明した自らの先の発言を正当化する狙いとみられ、改革推進を求める与野党議員があらためて反発する可能性がある。
首相は官邸で、郵政選挙に関する記者団の質問に答え「(当時は)多くの国民の中で(郵政事業の)四分社化を知っていた人はほとんどいないというのが私の認識だ。郵政民営化かそうでないかが問われた」と述べた。
郵政選挙の際、自民党は四分社化が盛り込まれた郵政民営化関連法案の成立を図ることをマニフェスト(政権公約)に明記。それでも首相は、選挙戦を通じ有権者が四分社化の形態については十分認識するに至らなかったと主張した。
首相は五日の衆院予算委員会で「四つに分断した形が本当に効率としていいのかどうか、もう一回見直すべき時に来ているのではないか」として、見直しに言及した。
このほか首相は十日、かつて総務相として郵政民営化を担当したと昨年九月の自民党総裁選時に主張していたことについて「私は小泉内閣で総務相を二期務め、一期目は間違いなく郵政民営化を担当した。後半の二期目に担当を外された」と釈明した。