2009年02月11日(水) 22時12分
<ジンバブエ>復興の見通し立たず ムガベ大統領が権力維持(毎日新聞)
【ヨハネスブルク高尾具成】ムガベ大統領による独裁が続いていたジンバブエで11日、野党党首が首相に就任、連立政権が発足した。背景にはインフレが年率2億%を超えるなど経済が破綻(はたん)、コレラで3400人超の死者を出すなど国民が困窮を極め、危機打開を迫られた事情がある。周辺国の強い勧めで妥協を重ね、連立政権を発足させたものの、大統領は権力を維持、欧米を批判する姿勢を緩めておらず、欧米の制裁を解き、復興する見通しは立っていない。
ジンバブエ(人口1334万人)では国連推計で約700万人が緊急な食糧支援を必要とする。昨年8月からのコレラ感染者は約7万人だが、病院は機能していない。開校する公立学校は2割以下で、職を得られる人は10人に1人だ。国外脱出も後を絶たない。
こうした惨状に加え、南アフリカなど南部アフリカ開発共同体諸国が大統領に妥協を促したことで、連立政権が発足した。
新政権は経済改革を最重点課題としている。これには欧米の制裁解除と援助増額、投資に頼らざるを得ない。
しかし、連立発足に向けた合意文書では、欧米による制裁の契機となった白人農場主からの土地強制収用が事実上容認されている。また、ムガベ大統領は旧宗主国・英国など欧米諸国との対決姿勢を続けており、このまま欧米が制裁を解除するのは難しい情勢だ。
首相に就任した最大野党「民主変革運動」(MDC)ツァンギライ議長は逮捕や暴行をたびたび受け、野党の政治犯がいまだに多数、拘束されたままだ。欧米の記者が逮捕されたり、入国を認められない状況も続く。新政権が民主化・自由化に取り組むかも、欧米の制裁を解除するカギとなりそうだ。
<ジンバブエの独裁体制を巡る動き>
80年 ジンバブエ独立。ムガベ氏首相に就任
87年 ムガベ氏が大統領に就任
90年 ムガベ大統領再選
92年 白人農家の土地を強制収用する法律を制定
96年 ムガベ大統領3選
99年 野党・民主変革運動(MDC)結成。ツァンギライ議長就任
00年 白人農家の土地収用本格化
02年 ムガベ大統領4選
07年3月 同議長が警官に暴行される
08年3月 大統領選など総選挙を実施。同議長勝利宣言
5月 選管が大統領と同議長による決選投票決定
6月 警察が同議長を一時拘束。同議長は決選投票撤退。大統領は決選投票強行。5選を宣言
9月 与野党が連立政権樹立で合意
09年2月 同議長が首相就任。連立政権スタート
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