記事登録
2009年02月11日(水) 16時02分

事故米食用転売:三笠フーズ社長ら幹部逮捕 風評被害、県内根強く /鹿児島毎日新聞

 冬木三男社長ら幹部の逮捕に発展した、三笠フーズによる事故米の不正転売事件。昨年9月の発覚以来、県内でも焼酎や製菓などに混入され、多くの企業が自主回収などの対応に追われた。被害者の間からは「逮捕まで時間がかかり過ぎ」「風評被害は依然、残っている」といった声が漏れた。
 ◇「今も傷は癒えてない」厳しい口調の焼酎業界
 「(社長ら)逮捕は、遅過ぎたくらい」
 県酒造組合(本坊喜一郎会長)の吉野馨専務理事は「事件は、焼酎業界全体に打撃を与え、今も傷は癒えていない」と厳しい口調だった。
 県内の焼酎出荷量は近年の焼酎ブームで年々増加を続けたが、07年7月、13年ぶりの値上げに踏み切ったことが影響し、07年度(07年7月〜08年6月)の出荷量は10年ぶりに前年度を下回った。
 その直後に起きた事故米事件。県内の焼酎出荷量は、昨年11月が前年同月比4・0%減、同12月も1・4%減——などと、影響は大きかった。
 奄美市の黒糖焼酎メーカー「西平本家」(中村千枝子社長)は、昨年12月から今年1月にかけて計3回、事故米を使って製造した黒糖焼酎と、風評被害で返品された焼酎約110トンを自主廃棄した。県の検査で農薬やカビ毒は検出されなかったが、「安全、安心と、信頼回復のため」で、被害額は約1億6000万円という。
 日置市の西酒造(西陽一郎社長)など各社は対応に追われた。業界内では、風評被害を訴える声も。
 組合は、農水省の検査不備で事故米が流通し風評被害を受けたとして、国を相手取った損害賠償請求訴訟を検討。その後、国が、回収・廃棄などの費用(国全体で約150億円)を2次補正予算案に計上したため、「提訴は今のところ、見合わせている」という。
 ◇「農水省は国民に謝罪を」全容解明求める菓子店−−鹿屋市
 らくがん粉18キロを仕入れたが、使用前に全量返品した「東京屋菓子店」(鹿屋市串良町)の店主(71)は「(逮捕は)自業自得だ。農水省にも責任があるのに処分が甘い」と全容解明を求める。
 鹿屋市には「東京屋菓子店」の屋号が3店舗あり、兄弟がそれぞれ独立経営。農水省のリスト公表で風評被害は他の2店舗にも及んだ。同市吾平町の東京屋菓子店主(74)は「我々のみならず、国民に向かって国が謝罪することが信用回復の第一歩だ」と話した。

2月11日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090211-00000219-mailo-l46