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2009年02月11日(水) 20時40分

オバマ和平交渉に影響も イスラエル総選挙で右派過半数産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】米政府はイスラエルの総選挙を受けて、新政権との間で中東和平に向け、協力していきたいとの意向を示している。ただ、リクードを中心とする右派陣営が過半数を獲得するのが確実となったことで、専門家からはオバマ米大統領が掲げる早期の和平実現に影響が出るのは避けられないと懸念する声が出ている。

 ウッド米国務省副報道官は10日の記者会見で、「新政権と協力することを楽しみにしている。(米国としては)和平プロセスに立ち戻りたい」と述べた。米政府は1月下旬にイスラエルやパレスチナ自治区などを歴訪したミッチェル中東特使を再び2月中に中東に派遣し、和平交渉開催の可能性を探らせる方針だ。

 オバマ政権は、イスラエルの新政権が、2007年11月にブッシュ前米大統領の仲介によってアナポリス(米メリーランド州)で本格的に再開されたパレスチナとの和平交渉路線を引き継ぐことを期待している。

 米政府内では、交渉の責任者だったリブニ外相率いる中道カディマの勝利を望む声が多かった。リクードを率いるネタニヤフ党首は和平交渉に消極的な姿勢を示していたうえ、同氏が1990年代に首相を務めた際、当時のクリントン政権との間で両国関係を悪化させたためだ。

 米シンクタンク、外交問題評議会のスティーブン・クック上級研究員は、リクードを中心とする右派陣営が政権を主導した場合、「和平を推進しようとする米国との間で衝突が起きるだろう」と予想する。特に、ネタニヤフ元首相が反対しているヨルダン川西岸の入植地からの撤退問題が「大きな課題になる」と指摘。「入植地問題に取りかかると、想像しているよりもはるかに複雑であることがわかる」と述べた。

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