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2009年02月11日(水) 20時32分

<米上院>大型景気対策法案を可決 総額76兆円毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米上院は10日の本会議で、大型景気対策法案を賛成61、反対37の賛成多数で可決した。法案の総額は8380億ドル(約76兆円)と、下院で可決した8190億ドルの法案に比べ、約190億ドル膨らんだ。上下両院で内容の異なる景気対策法案を可決したため、上下院は両院協議会を開き、週内にも法案を一本化する方向で調整する。

 上院で法案を可決したことで、オバマ米大統領の就任後最初の大きなハードルと見られていた景気対策法案は、成立に向けて一歩前進した形となった。

 ただ、上院の法案は共和党穏健派の賛同を得るため、下院案に盛り込まれた教育や医療保険の歳出を大きく削り込み、代わりに所得税減税など減税額を大幅に拡大した。米国製鉄鋼などの使用を求め、各国から保護主義と批判を浴びた「バイアメリカン条項」については、上院では「国際間の合意に沿った形で適用する」と修正した。

 オバマ政権が最優先課題として取り組んできた景気対策法案だが、上下両院の調整は難航しそうで、法案の行方は依然として予断を許さない。オバマ大統領は「今こそ行動のときだ」と今月中旬の成立に向けて議会に早期審議を求めてきたが、想定どおりに週内に妥協が成立するかは微妙な情勢。下院民主党のホイヤー院内総務は「両院の協議は来週半ばまでかかる可能性もある」と早くも週内の法案成立に否定的な見通しを示している。

 同法案は、今後2年間で最大400万人の雇用創出を目標に公共投資などの歳出増と、大規模減税を組み合わせている。太陽光や風力など代替エネルギー分野への投資に加え、道路などインフラ整備や学校の近代化などへの重点投資のほか、各州財政への補助も含まれている。一方、減税では、勤労者世帯への1人500ドル、夫婦で1000ドルの所得税の還付減税や投資促進に向けた企業減税も実施する。

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