広島市と、路上生活者を支援する市民団体「野宿労働者の人権を守る広島夜回りの会」は今月、ホームレス支援を強化する方針を確認した。会が独自に実施した実態調査を踏まえた連携。アンケートに応じた路上生活者37人の6割近くが住まいでの暮らしを望む一方で、約8割がほとんど収入がなく、職探しの大きな壁になっていた。
6日には、夜回りの会の肥塚〓司(たかし)代表たちメンバー4人と、市健康福祉企画課の林義雄・保護担当課長が市内で協議。両者で実態調査の結果を分析し、市が夜回りの会の主催行事などに参加し、生活保護制度の周知や街頭相談を進める対策を練った。
夜回りの会が市中心部で路上生活者にアンケートしたのは、景気が一気に減速した昨年10、11月。会がこのほど公開した分析結果からは日々の生活に困窮する姿が浮かぶ。
「仕事を探して住まいで暮らしたい」。37人のうち10人がそう願った。収入を得る道が険しい現実を前に、6人は「生活保護を」と訴えた。「自宅に戻りたい」などの答えを合わせると、全体の56.8%に当たる計21人が路上生活をやめたがっていた。
「無収入」。全体の半数近い17人がそうだった。「収入はあるが、満足な食事ができない」。13人はこう答えた。「面接へ行く交通費や連絡を取る電話代がない」「履歴書に書く住所がない」。そんな意見も目立った。年齢は50代以上が26人を占めた。
【編注】〓は「にんべん」に「孝」という漢字ですが、JISコードにないため表示できません。