NHKの有料番組配信サービス「NHKオンデマンド」(NOD)の利用者数が伸び悩んでいる。スタートして2か月余り。好きな番組を好きな時間に視聴できるサービスが日本で普及するには、まだ時間がかかりそうだ。(川辺隆司)
NODは、インターネットのブロードバンド(高速大容量通信)に接続したパソコンなどで、好きなNHKの番組を好きな時間に見られる有料サービス。NHKスペシャルや大河ドラマ「天地人」など、1週間以内に放送された番組を見られる「見逃し番組」と、「NHKスペシャル 映像の世紀」や「プロジェクトX」など過去の映像資産を視聴する「特選ライブラリー」の2サービスがある。
利用者はホームページ(https://www.nhk-ondemand.jp/)で会員となり、番組を購入する。料金は1番組につき105〜315円。「見逃し番組」には月額1470円で見放題にできるパック料金、「特選ライブラリー」にはドラマをまとめて視聴する場合などに適用される割引制度もある。
昨年12月1日のスタートから2週間ほどは順調に登録者数が増えたが、期待していた年末年始の伸びが悪く、1月29日現在の登録者数は約2万9000人。NHKは頻繁に番組を購入する「アクティブな利用者」の3月末時点の目標数を8万人としていたが、残り2か月で達成するのは困難な情勢だ。
伸び悩みの理由の一つと考えられるのが、番組をパソコンで視聴するためのソフトの問題。
多くの場合、番組を購入しようとすると、マイクロソフト社の視聴ソフト「ウィンドウズメディアプレーヤー」の最新版をダウンロードするよう指示が出るが、どこをクリックすればいいかがわかりづらく、コールセンター((電)0570・083333)への問い合わせが相次いだ。NHKオンデマンド室の木田(ぼくだ)実室長は「どうすればよいかわからず、購入をあきらめてしまった人も多いのでは」と話す。
会員の性別や年齢にも偏りがある。会員の内訳は男性88%、女性12%。年齢別では40代が最多の30%で、30代と50代を合わせると全体の74%。「女性を含む広い層に浸透させていくことが課題」(木田室長)という。
NHKでは、視聴ソフトの更新をわかりやすくする作業を進めているほか、3月19日までの期間限定で、「見逃し番組サービス」が1週間見放題になるパック料金(525円)を設定し、利用者拡大に向けたテコ入れを図る。
NODは昨年4月に施行された改正放送法によって可能になったサービス。初期段階では受信料で経費をまかなうが、2011年度には単年度黒字に転換、13年度には累積赤字の一掃を目指している。13年度末に累積赤字が解消されない場合、「業務の継続について検討する」と定めており、最悪の場合、事業撤退もあり得る。
木田室長は「まだ始まったばかりのサービス。時間をかけて、じっくり普及に取り組みたい」と話している。
1月の見逃し番組視聴回数 Nスペ 女と男 第1回2,520 Nスペ 女と男 第2回1,968 大河ドラマ 天地人 第1回 五歳の家臣1,875 大河ドラマ 天地人 第2回 泣き虫 与六1,744 Nスペ 女と男 第3回1,655 大河ドラマ 天地人 第3回 殿の初恋1,296 オバマ大統領就任式1,257 その時歴史が動いた 直江兼続の決断1,125 Nスペ 激論2009 世界はどこへそして日本は1,0821月の特選ライブラリー視聴回数 Nスペ 地球大進化 第1集976 Nスペ ドキュメント太平洋戦争 第1集625 Nスペ 地球大進化 第2集596 Nスペ 地球大進化 第3集472 Nスペ 映像の世紀 第1集441 その時歴史が動いた 運命の一瞬 東郷ターン436 Nスペ 宇宙 第1集426 Nスペ 地球大進化 第4集416 Nスペ ドキュメント太平洋戦争 第4集415 Nスペ ドキュメント太平洋戦争 第3集396