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2009年02月10日(火) 00時00分

日韓交流史 2年かけ刊行読売新聞

多摩で約40年 民間親善活動
多摩地区の日韓交流の歴史をまとめた福田さん

 西東京日韓親善協会連合会(岩崎泉会長、立川市錦町2)で事務局長を務める福田之保さん(64)が、40年近くにわたる多摩地区の日韓交流の歴史を記録した「日韓民間交流史」をまとめた。民間交流の窓口が整備されていない時代から活動を続けてきた同連合会。福田さんは「交流事業に携わった多摩地区の人たちが多くいることを知ってほしい」と話している。

 発足当初から事務局長を務める福田さんは愛知県出身。中学卒業後、トヨタ自動車の技術者養成学校を経て、車体の設計技師として働いてきた。幼いころから興味があった国際問題を肌で感じて勉強したいと、26歳の時、米軍立川基地があった立川市に移り住んだ。

 そんな時、気になったのが韓国だった。「隣国なのに遠い存在だった」という韓国の姿を自分の目で確かめたいと、引っ越してきたこの年、1人で訪韓した。当時、朝鮮半島は緊張状態にあったが、貧しいながらも懸命に働く市民の姿を見て、交流を促進するための親善協会の必要性を感じたという。

 福田さんは翌1971年、多摩地区の保守系の市町議会議員約400人を戸別に訪問し、協会の創設を訴えて回った。1年ほどして理解を示す人が現れ、1973年に11市町の議員約40人とともに訪韓を実現させた。76年、当時の立川市議会議長だった古橋一徳さんらとともに、前身の親善協会を設立した。同じ年、日韓親善協会中央会ができた。

 交流史には、協会創設当時から今日までの活動が記されている。79年には、1000本のソメイヨシノを寄贈し、ソウル市の国会議事堂周辺に植樹されて桜の名所となったことや、83年に、北朝鮮との軍事境界線から南へ約1キロの場所に、平和のシンボルであるハト3000羽を飼育するための小屋を寄贈した事業などが紹介されている。

 同協会が2006年、創立30周年を迎えたのを機に、福田さんは執筆を開始。段ボール箱約30箱分の資料を整理して、昨年12月、2年がかりで完成させた。交流史に登場する市民は約1500人に上る。定価4000円(税込み)。352ページ。問い合わせは、西東京日韓親善協会連合会((電)042・736・1768)へ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20090210-OYT8T00045.htm