八王子市の「中町周辺地域まちなみづくり協議会」(樫崎彰男会長)が進めている街並み整備事業が、2009年度の都の「江戸東京・まちなみ情緒の回生事業」に選ばれた。新年度は同市と中央区の2か所が選ばれ、都と地元自治体がそれぞれ事業経費の5分の2ずつを助成する。
この事業は、都が旅行者や観光客に江戸・東京の歴史的な風情や趣を感じてもらおうと、地域団体が主体的に取り組んでいる街並み整備事業を支援するもので、今年度から実施している。
同協議会は、織物の街として発展した八王子市の情緒ある街並みをよみがえらせ、街を活性化させようと、八王子観光協会や商店主らによって07年に組織された。
計画によると、総事業費1200万円をかけ、中町周辺にあんどん風街路灯の整備や路地の石畳舗装、外壁の黒塀風塗装などを施して、花柳界の雰囲気を醸し出したい考えだ。
同市は多摩地区で唯一、花柳界の粋な伝統と街並みが残る。同市中心街の中町、南町には最盛期で料亭が30軒、200人を超える芸者が夜の街に彩りを添えていたという。ところが、繊維業の衰退とともに料亭も姿を消し、芸者衆も十数人にまで落ち込んだ。黒い板塀や柳の木で囲まれた街の風情も、今では派手な看板を掲げた飲食店のはざまにわずかに見られる程度となっている。
今回の決定について、八王子観光協会長で、同協議会副会長の大串泰治さん(77)は「花柳界の街並みを残す最後の機会だと思っていたので、決定は本当にうれしい。ゆくゆくは観光の拠点にしていきたい」と喜んでいる。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20090210-OYT8T00047.htm