大阪市の米粉加工販売会社「三笠フーズ」(破産手続き中)による汚染米不正転売事件で、大阪、福岡、熊本の三府県警合同捜査本部は10日、工業用のコメを食用と偽って販売したとして不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、同社社長の冬木三男容疑者(73)ら5人を逮捕した。
国などが売却した有害成分を含む工業用のコメを食品として流通させた極めて悪質な事件は、大きな節目を迎えた。
いずれも容疑を認めている。伝票上の取引で不正に利益を得ていたとされ、冬木容疑者は逮捕前「金もうけのためにやった」と供述したという。
5人は冬木容疑者のほか、三笠フーズの元顧問宮崎一雄(77)、元社長秘書古谷幸作(59)、宮崎元顧問の長男で同社関連会社「辰之巳」(破産手続き中)の元営業課長の雄三(49)、仲介業者「マルモ商事」(佐賀県)社長の丸山茂夫(60)の各容疑者。
調べでは、5人は共謀、農薬アセタミプリドに汚染されたベトナム産うるち米598トンを工業用のり原料として商社などから購入。昨年1月上旬から8月下旬にかけ、正規米に混ぜた計896トンを熊本、鹿児島両県の酒造会社6社に食用と偽り販売した疑い。
捜査本部によると、汚染米は三笠フーズの九州工場(福岡県)から酒造会社に渡っていたが、伝票上は両社の間にマルモ商事と一雄容疑者が経営する「サン商事」が介在。サン商事から辰之巳への納品書には、酒造加工用であることを示す「特定米穀白米」などと記載されていた。
汚染米の仕入れ価格は1キロ当たり18・9円。伝票上の取引で酒造会社への販売価格は同69・5—98円につり上げられた。この取引で三笠フーズは約2000万円、マルモ商事は約2200万円、サン商事は約2400万円、辰之巳は約6000万円の売り上げがあった。
捜査本部は詐欺容疑での立件も視野に全容解明を目指す。
三笠フーズは農薬アセタミプリド汚染米のほか、メタミドホス汚染米800トン、カビ毒アフラトキシンの汚染米9・5トンを国や商社から購入、一部が出荷されていた。
(2009年2月10日13時08分 スポーツ報知)
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