財団法人「日本漢字能力検定協会」(大久保昇理事長)が公益法人にもかかわらず多額の利益を出していたとされる問題で、文部科学省は9日、京都市下京区の協会本部を立ち入り検査した。文科省はこれまでにも検定料の引き下げや取引の是正などを指導。改善が見られないとして、“本陣”に踏み込んだ。
協会は税制上の優遇が受けられる代わりに、必要以上の利益を出すことが認められない公益法人。しかし2006年、07年度に計15億円もの利益を計上していた。
一方で06〜08年にかけて、大久保理事長が役員を務める広告会社「メディアボックス」に広報業務委託などで約8億円、理事長の長男・浩氏が代表の「日本統計事務センター」に採点処理などで約31億円、出版会社「オーク」に事務所賃貸料で約27億円を支払った。ファミリー企業に対しての支出は計66億円にも上っている。
関係者によると、同協会は1年間の世相を表す「今年の漢字」がスタートした95年あたりを境に、運営の羽振りがよくなったという。本部はもともと京都市西京区の古い賃貸ビルに間借りしていたが、わずか1、2年で下京区に自前のビルを建設。関係者は「もとのビルは理事長の自宅のすぐ近くにあったようですが、移転してからは運転手つきの車。職員も女性事務員が一気に多くなった印象があります」と羽振りのよさに首をかしげた。
03年7月には京都市左京区の土地と建物を約6億7000万円で購入、04年2月には右京区にある宝厳院の供養塔を約345万円で購入したことも分かっている。協会ホームページでは土地について「漢字資料館を建設する目的で所有」、供養塔について「協会の発展に貢献された方々の没後の供養の目的で所有」と説明しているが、依然として不透明な部分が多い。
(2009年2月10日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090209-OHT1T00281.htm